家の中が暖かくて快適な空間にすることは、ストレスなく健康に暮らすための重要なポイントです。 特に北海道十勝のような冬の期間がとても寒い地域では、家を暖かく保つための断熱材は、冬の光熱費を抑えるためにも、慎重に選びたいところです。
今回は、断熱材のいろんな種類やそれぞれの特徴、断熱材を選ぶときのポイントについて紹介していきます。
できるだけわかりやすく、簡単にまとめてみました♪
断熱材とは?
断熱というのは、熱が伝わらないようにすること。それを実現するのが断熱材という素材です。
家づくりで使用される、断熱材の役割とは何だと思いますか?
まずひとつめは、外からの暑さや寒さを遮ってくれること。夏は暑い外の熱を家の中に入れない、冬は温かい空気を外へ逃がさないようにしてくれます。
そのため、夏でもクーラーを必要以上に使わなくても快適に、冬も暖房をできるだけたくさん使わなくても暖かい状態を保つことができます。
断熱材のおかげで、夏は涼しく、冬は暖かい快適な家が作ることができるんですよ。
断熱材は、クーラーボックスや、宇宙船・ロケットにも使われているものをイメージするとわかりやすいかもしれません。
断熱材には、3つの種類があります。
断熱材には、大きく分けて次の3つの種類があります。
・繊維系断熱材
・発泡プラスチック系断熱材
・天然素材系断熱材
まずは、「繊維系断熱材」。この断熱材は、とても細かい繊維でできています。空気をたくさん含んでいるので、熱を通しにくくなります。
次は、「発泡プラスチック系断熱材」。この断熱材は、プラスチックが膨らんでできています。たくさんの小さな気泡があるから、熱を通しにくくなるのです。
そして、「天然素材系断熱材」。この断熱材は、自然から取れる素材でできています。天然素材は、地球にやさしく、部屋の中を快適に保ってくれます。
無機繊維系
①グラスウール
・安価
・軽い
・広く普及している
・燃えにくい
・防音効果がある
・防湿対策が必要
ガラス繊維でできています。
②ロックウール
・広く普及している
・吸音性が高い
・害虫対策になる
・軽い
・燃えにくい
・防湿対策が必要
鉱物を使って作られています。
木質繊維系
セルロースファイバー
・調湿性能が高い
・吸音性が高い
・防音性が期待できる
・害虫対策になる
・重量が重い
古い紙を使って作られた、環境にやさしい素材です。断熱材として、綿のような形にして壁の中の隙間に詰めます。
天然素材系
①羊毛
・価格が高い
・防虫効果が高い
・調湿力がある
・断熱性に優れる
・対応業者が少ない
羊の毛で作られています。使用済みの衣服などをリサイクルして再利用することも多いそうです。防虫加工は効果が長く続き、湿気を調整する能力が高いのが特徴です。
②炭化コルク
・調湿性能が高い
・吸音性に優れる
・防虫効果がある
ワインのコルク栓に使われるあの部分を炭化したものです。元々の材料であるコルク樫には、虫が嫌いな成分が含まれていて、ダニを寄せ付けにくいそうです。湿気の調整や音を吸収する力もすごく優れています。
天然素材は、価格が安ければ積極的に使ってみたい素材ですよね。
発泡プラスチック系
①押出発泡ポリスチレン
・断熱性に優れる
・熱に弱い
・水に強い
・軽量で施工がしやすい
・衝撃に弱い
ポリスチレンを溶かして、発泡剤や難燃剤などを混ぜ、板状に押出形成されたものです。とっても軽くて加工や施工が簡単なのが特徴です。
②ビーズ法ポリスチレン
・水に強い
・耐久性が高い
・軽くて柔らかい
・熱に弱い
・軽量で施工がしやすい
白い小さな粒子がたくさん集まってできていて、ポリスチレンという材料をビーズ状にして膨らませたもの。発砲スチロールという名称でも呼ばれています。
③硬質ウレタンフォーム
・断熱性が高い
・耐久性が高い
・シロアリに弱い
・吸音性が高い
・燃えると有害
主成分は、ポリウレタン樹脂。現場で吹き付けるタイプの需要が高いです。
④フェノールフォーム
・断熱性能に優れている
・耐水性が高い
・シロアリに弱い
・耐熱性が高い
・価格が高い
・劣化速度が遅い
素材は、フェノール樹脂。フライパンや鍋のグリップ部分に使われる黒色の樹脂にも使用されています。
性能と価格のバランスがポイントです♪
外張り断熱と充填断熱の違い
断熱材の施工方法には、「外張り断熱」と「充填断熱」という方法があります。
■外張り断熱
家の基礎や外壁、屋根に断熱材をつける方法で、建物全体をしっかりと包んで断熱します。とってもいい断熱効果が期待できる施工です。価格が高くて、1平方メートルあたり約8千円~かかることが多いです。
■充填断熱
断熱材やパネルを壁や天井、床に入れる方法で、「吹き込み工法」というのもあり、柱や梁の間に断熱材を詰めます。この方法は施工費用が外張り断熱より安く、1平方メートルあたり約4千円~ですが、外張り断熱と比べると断熱性は少し劣ります。
■付加断熱
充填断熱と外張り断熱の両方を行う施工方法です。
施工技術が高くないと、性能は発揮されません。
熱伝導率が低いほど、断熱性が高い!
「熱伝導率」というのは、物質の熱がどれくらい伝わりやすいかを表す数値のこと。熱伝導率が低い断熱材ほど、熱がほとんど伝わらないから、断熱の効果が高いってことなんです。
断熱材の厚みも重要!
断熱材の特徴一覧
断熱材についてお伝えしてきましたが、たくさんの種類や特徴があり、どれを選んだらいいのか迷ういますよね。でも、大まかに断熱材について知っておくと、家を建てるときや打ち合わせのときに役立つことは間違いないでしょう。
家を建てるときは、ただ言われるままにお任せにしないで、自分たちが納得できる提案なのかを考えてみましょう。打ち合わせの際にも自分たちの意見を言いやすくなりますよ。
特徴を理解したうえで、予算に応じてどこまでの性能を求めるかを判断する必要があります。
断熱材 | 熱伝導率 | 厚み | 熱抵抗値 | 価格傾向 | 工法 |
---|---|---|---|---|---|
グラスウール | 0.050 | 50 | 1.00 | 安価 | 充填 |
ロックウール | 0.038 | 50 | 1.31 | 安価 | 充填 |
セルロースファイバー | 0.040 | 100 | 2.50 | 高価 | 充填 |
インシュレーションボード | 0.050 | 50 | 1.00 | 高価 | 充填 |
羊毛※ | 0.039 | 60 | 1.50 | 高価 | 充填 |
炭化コルク※ | 0.034 | 25 | – | 高価 | 充填 外張り |
ポリエチレンフォーム | 0.042 | 25 | 0.59 | 普通 | 充填 |
ビーズ法ポリスチレンフォーム | 0.043 | 10 | 0.23 | 普通 | 外張り |
押出法ポリスチレンフォーム | 0.040 | 10 | 0.50 | 普通 | 外張り |
硬質ウレタンフォーム | 0.024 | 7 | 0.29 | 高価 | 充填 外張り |
フェノールフォーム | 0.026 | 15 | 0.58 | 高価 | 充填 外張り |
※「羊毛」「炭火コルク」の数値は目安です。
まとめ
最近では、法律の変更が頻繁に行われていて、エネルギーを節約することがますます重要になってきています。これからは、建築会社だけでなく、家を建てる側も省エネについて無関心ではいられなくなります。
ちょっとだけ知っておくだけでも、建築会社との話し合いがスムーズになり、後悔しない家づくりができるようにでしょう。
そして、2022年6月17日に改正建築物省エネ法が公布され、2025年4月には全ての新築住宅に省エネ基準の適合が義務づけられる予定です。
(外部リンク:国土交通省 家選びの基準変わります。)
省エネ基準への適合義務化や省エネ住宅のメリットなどについてわかりやすく解説した、『家選びの基準変わります』HPを開設しました。
コメント